HOME > 医療関係者様へ > 臨床研修

臨床研修

臨床研修カリキュラム

[基本研修科目]
外 科

研修スケジュール
概要
A. 3カ月間指導医のもとで研修する。卒後研修においてはプライマリーケア研修が主眼であり、将来の専門性にかかわらず外科領域のプライマリーケアが実践できることを目標にする。
当院の外科においては一般的な外科疾患が多いことはもちろんであるが、基礎疾患を合併している高齢者の割合が高い。このため手術適応の決定、手術術式の選択、術前・術後管理を慎重に行うことが重要であり、特に高齢者の診療に関する知識・技術の修得が可能である。また、地域の一次・二次救急を毎日受け入れているため救急疾患が豊富に経験でき、多発外傷等の診療にあたっては関係他科との連携も緊密であり、実践的なチーム医療を経験できる。
病棟では基礎的な外科疾患(外傷、虫垂炎、ヘルニア、イレウス、急性腹症など)のほか、乳腺疾患(乳癌)、胸部疾患(気胸、肺癌など)、消化器疾患(胃癌、大腸癌、胆石症など)を指導医のもとに受け持ち、病棟業務を行うとともに基本的な外科診察・治療技術を修得する。また、外科診療に必要な検査を理解し、基本的な検査は自ら行えるようにする。
外来では指導医の外来を見学し、自ら予診の聴取、創傷処置などを行う。
手術では助手として補助にあたるが、疾患によっては術者として執刀する。
毎週定期的に指導医よりプライマリーケアに必要な内容を中心としたレクチャーを受ける。
院内で定期的に開催されている検討会、研究会、抄読会に積極的に参加する。
院外で開催される研究会、研修会、全国学会・地方会に出席することも可能である。
B. 基本研修として3か月の外科研修を終了した後に、選択科目として外科を希望した場合には、最初の3か月の研修内容をより充実させ外科の専門研修の内容に近づける。手術は虫垂炎、ヘルニア、簡単な腸管吻合などを経験できる。
卒後臨床研修終了後に外科を目指す医師は、外科専門医の修得に必要な手術の経験数を増やすほか、症例報告論文作製などに関しての指導を受ける。

月間スケジュール表
1月目 2月目 3月目
1) 病棟業務に必要なオリエンテーション
2) オーダリング方法(処方、注射、検査)の習得
3) 医療記録の作成・管理
4) 医療面接、基本的診察手技の確認
5) 基本的臨床検査(心電図、細菌学的検査など)の習得
6) 基本的診療手技(注射、採血、胃管、導尿)の習得
7) 清潔操作の習得
8) 感染予防の指導と実施
9) 病棟回診で創傷処置、抜糸、ドレーンの管理などを修得する
10) 外来で予診の聴取、創傷処置を行う
11) 助手として手術の補助にあたる
12) Clinical conferenceで症例を提示する
13) EBMに基づいたデータを電子媒体を利用して収集し応用する。
1) Informed consentが実施できる
2) Critical pathを理解し、活用できる
3) 自ら診療計画を作成し、指導医の管理下に患者に説明できる。
4) 療養指導と薬物治療ができる
5) 輸液、輸血計画をたて実施する
6) 局所麻酔法を理解し、腰椎穿刺や体腔穿刺を経験する
7) 退院時の診療計画に参画する
8) 中心静脈穿刺を経験する
9) 同左
10) 同左
11) 同左
12) 同左
13) 同左
14) 手術で簡単な切開、排膿、縫合などの手技を修得する
1月目、2月目の内容に加えて
1) 症例一覧を作成し、自らの研修過程を考察する
2) 外科研修における自己評価ならびに指導医の評価を行う
3) 超音波検査を自ら実施し結果を解釈できる
4) 簡単な手術の術者を経験する

週間スケジュール表(第1、3土曜日は閉庁)
  午前 午後
モーニングレクチャー
指導医とともに病棟業務
手術
病棟カンファレンス(毎週)
術前カンファレンス
指導医とともに外来業務
または超音波検査見学
指導医とともに病棟業務
病棟カンファレンス(毎週)
抄読会(月1回)
内科・外科合同カンファレンス(月1回)
指導医とともに病棟業務
または検査見学
手術
 
指導医とともに病棟業務
または内視鏡検査見学
手術
 
指導医とともに病棟業務
または検査見学
手術
 
指導医とともに病棟業務
   
※レクチャーは原則として月曜日の早朝に行うが、状況に応じて適宜他の曜日に行う場合がある。

研修目標
1. 一般目標(GIO: General Instructional Objectives)
 
1) 外科の特徴として、観血的治療が多くなるが、これは法的には「傷害罪」にあたる。これが罰せられないのは「治療行為のため違法性が阻却される」からであることを理解し、患者を全身的にかつ全人的に診療したうえで不要な手術は避け、患者にとって最も適切な医療を提供できるように、外科的な診療技術の修得に努める。
2) 外科領域のプライマリーケアに必要な基礎的知識および外科的診察技術、基本的検査・処置・麻酔手技に習熟し、救急患者、術後患者の全身管理ができることを目標にして研修を行う。
3) 外科の基本的問題解決に必要な基礎的知識、臨床的判断能力と問題解決能力を修得する。
すなわち、外科診療に必要な下記の基礎的知識に習熟し、臨床応用できるようにする。
 
(1) 局所解剖
  (a)外科診療上必要な局所解剖について述べることができる。
(2) 病理学
  (a)外科病理学の基礎を理解している。
(3) 腫瘍学
  (a)発癌、転移形成およびTNM分類について述べることができる。
(b)手術、化学療法および放射線療法の適応を述べることができる。
(c)抗癌剤と放射線療法の合併症について理解している。
(4) 病態生理
  (a)周術期管理などに必要な病態生理を理解している。
(b)手術侵襲の大きさと手術のリスクを判断することができる。
(5) 輸液・輸血
  (a)周術期・外傷患者に対する輸液・輸血について述べることができる。
(6) 血液凝固と線溶現象
  (a)出血傾向を鑑別できる。
(b)血栓症の予防、診断および治療の方法について述べることができる。
(7) 栄養・代謝学
  (a)病態や疾患に応じた必要熱量を計算し、適切な経腸、経静脈栄養剤の投与、管理について述べることができる。
(b)外傷、手術などの侵襲に対する生体反応と代謝の変化を理解できる。
(8) 感染症
  (a)臓器や疾病特有の細菌の知識を持ち、抗生物質を適切に選択することができる。
(b)術後発熱の鑑別診断ができる。
(c)抗生物質による有害事象(合併症)を理解できる。
(d)破傷風トキソイドと破傷風免疫ヒトグロブリンの適応を述べることができる。
(9) 免疫学
  (a)アナフィラキシーショックを理解できる。
(b)GVHDの予防、診断および治療方法について述べることができる。
(10) 創傷治癒
  (a)創傷治癒の基本を述べることができる。
(11) 周術期の管理
  (a)病態別の検査計画、治療計画を立てることができる。
(12) 麻酔学
  (a)局所・浸潤麻酔の原理と局所麻酔薬の極量を述べることができる。
(b)全身麻酔の際に必要な検査を述べることができる。
(13) 集中治療
  (a)集中治療について述べることができる。
(b)人工呼吸器の基本的な管理について述べることができる。
(c)DICとMOFを理解できる。
2. 行動目標(SBO: Specific Behavior Objectives)
 
A. 外科研修において特に経験すべき診察法・検査・手技
 
(1) 基本的外科診療能力
臨床医としての基本的態度
 
1) 外科診療に必要な医学情報を効率的に収集し、それらを統合した上で的確な臨床的判断をくだすことができる
2) 自己評価をし、第三者の評価を受け入れ自己に還元できる
3) 生涯教育を遂行する習慣、態度を身につける
4) 医の倫理に立脚し、患者・家族の人格と人権を尊重できる
5) 信頼に基づく好ましい医師患者関係を形成できる
6) 患者・家族のプライバシーを守れる
7) インフォームド・コンセントの重要性を理解し実行できる
8) 自己の能力の限界を自覚し他の専門職と連携できる
9) 他の医療関係者の業務を知り、チーム医療を率先して実践できる
10) 他医に委ねる時、適切に判断して必要な記録を添えて紹介・転送できる
11) 紹介患者について適切な返書が記載できる
12) 保険医療と医療経済に関する知識を正しく理解できる
13) 医療関係文書(各種診断書)が適切に記載できる
14) 診療経過の問題点を総合的に整理・分析・判断・評価できる
15) 文献検索を含めた情報の収集・管理ができる
16) 症例呈示・要約が適切にできる
17) 死亡に際しては剖検を薦め、これに立ち会う
外科診察法
 
1) バイタルサインを含む全身の観察を行い、全身状態の把握ができる
2) 視診:外傷の種類、体表の腫瘤(感染性、腫瘍性など)、胸部・腹部の異常所見を観察し、記載できる
3) 触診:甲状腺、表在リンパ節(頸部、腋窩、鼠径部、膝窩など)、乳腺、胸部、腹部の触診および直聴診ができ、記載できる
4) 打診:胸部、腹部の打診ができ、記載できる
5) 聴診:胸部、腹部の聴診ができ、記載できる
臨床的情報処理技能
 
1) 診療録をPSO(Problem Oriented System)に従って記載し、管理できる
2) 処方箋、処置・治療の指示書を適切に記載できる
3) 問題を正しく把握し適切な検査・治療計画が立てられる
4) EBM(Evidence Based Medicine)を理解し、診療に応用できる
(2) 基本的外科臨床検査
  (内科および臨床検査科での研修で大半が経験できるため、外科に特有の検査および当院外科で研修可能な検査を示す)
自ら施行できる検査
 
1) 超音波検査(頸部、乳腺、胸部、腹部)
2) 造影X線検査(上部消化管造影、注腸造影、術後消化管造影、スプリント造影など)
3) 肛門鏡検査(主として痔核の診察)
結果を解釈できる検査
 
1) 胸部単純X線検査:胸部外傷、気胸、肺癌などの診療に重要である
2) 腹部単純X線検査:腹部外傷、急性腹症、イレウスなどの診療に重要である
3) マンモグラム:乳癌の診療に重要である
4) 胆道造影検査(ERCP、PTC、DIC、MRCPなど):膵、胆道疾患の診療に重要である
5) X線CT検査:胸・腹部外傷、急性腹症、頸部・胸部および腹部腫瘍などの診療に重要である
6) MRI検査
7) 血管造影検査:外傷や出血の評価、術前検査として重要である
8) 内視鏡検査(気管支鏡、上部消化管・大腸内視鏡)
(3) 基本的治療法
基本的手技・処置
 
1) 気道確保
2) 気管内挿管
3) 人工呼吸
4) 心マッサージ
5) 除細動
6) 酸素療法
7) 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)
8) 採血法(静脈血、動脈血)
9) 穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)
10) 導尿
11) 胃管の挿入と管理
12) ドレーン・チューブ類の管理
13) 圧迫止血法
14) 包帯法
15) 創傷処置、創部の管理(消毒とガーゼ交換)、創部抜糸
16) 局所麻酔法
17) 簡単な切開・排膿
18) 皮膚縫合法
19) 軽度の外傷の処置
基本的治療法
 
1) 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄など)
2) 薬物療法(抗菌薬、解熱薬、麻薬を含む鎮痛薬、昇圧剤、ステロイドなどの使用)
3) 補液療法
4) 輸血療法
5) 手術の適応
6) 放射線治療の適応
7) 癌化学療法の適応
8) リハビリテーションの適応と指導
9) 入退院の適応と退院指導
B. 外科研修において経験すべき症状・病態・疾患
 
(1) 頻度の高い症状
 
1) 全身倦怠感
2) 食欲不振
3) 体重減少、体重増加
4) 浮腫
5) リンパ節腫脹
6) 黄疸
7) 発熱
8) 嗄声
9) 胸痛
10) 呼吸困難
11) 咳・痰
12) 嘔気・嘔吐
13) 胸やけ
14) 嚥下困難
15) 腹痛
16) 便通異常(下痢、便秘)
17) 血尿
(2) 緊急を要する症状・病態
 
1) 心肺停止
2) ショック
3) 急性呼吸不全
4) 急性心不全
5) 急性腹症
6) 急性消化管出血
7) 急性腎不全
8) 急性感染症
9) 外傷
(3) 経験すべき疾患
 
1) 甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺良性腫瘍・癌)
2) 乳腺疾患(乳腺症、乳腺良性腫瘍、乳癌)
3) 動脈・静脈・リンパ管疾患(閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
4) 呼吸器系疾患(気胸、肺癌、転移性肺腫瘍)
5) 消化器系疾患
a) 食道・胃・十二指腸疾患(食道癌、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)
b) 小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻・肛門周囲膿瘍)
c) 胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎)
d) 肝疾患(原発性肝癌、転移性肝腫瘍)
e) 膵臓疾患(膵腫瘍、急性膵炎)
6) 横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、ヘルニア)
7) 外科的感染症(体表の膿瘍、蜂窩織炎、感染性アテロームなど)
8) 血液・造血器疾患(貧血、白血球増加・減少)
9) 体液・電解質バランスの異常
10) その他(当院特有の疾患)
a) 蜂刺傷によるアナフィラキシー・ショック、毒蛇咬傷
b) 交通外傷
c) スキー・スノーボード外傷
C. 外科研修項目(SBOのBの項目)の経験優先順位
 
(1) 経験優先順位第一位(最優先項目)
  外来診療もしくは受け持ち医として合計10例以上を経験し症例レポートにまとめる。必要な検査(超音波検査、放射線学的検査)についてはできるだけ自ら実施し診療に活用する。
手術症例を5例以上受け持ち、診断、検査、術後管理等について症例レポートにまとめる。
  ・浮腫
・リンパ節腫脹
・発熱
・胸痛
・呼吸困難
・咳・痰
・嘔気・嘔吐
・腹痛
・便通異常(下痢、便秘)
・ショック
・急性腹症
・外傷
・呼吸器系疾患(気胸、肺癌、転移性肺腫瘍)
・食道・胃・十二指腸疾患(食道癌、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)
・小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻・肛門周囲膿瘍)
・横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、ヘルニア)
(2) 経験優先順位第二位項目
  受け持ち患者として症例があれば積極的に経験する
  ・全身倦怠感
・食欲不振
・体重減少、体重増加
・黄疸
・胸やけ
・心肺停止
・急性消化管出血
・急性感染症
・肝疾患(原発性肝癌、転移性肝腫瘍)
・外科的感染症(体表の膿瘍、蜂窩織炎、感染性アテロームなど)
・血液・造血器疾患(貧血、白血球増加・減少)
・体液・電解質バランスの異常
(3) 経験優先順位第三位項目
  機会があれば積極的に初期診療に参加する
  ・嗄声
・嚥下困難
・血尿
・急性呼吸不全
・急性心不全
・急性腎不全
・甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺良性腫瘍・癌)
・乳腺疾患(乳腺症、乳腺良性腫瘍、乳癌)
・動脈・静脈・リンパ管疾患(閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
・胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎)
・膵臓疾患(膵腫瘍、急性膵炎)
3. 指導体制(研修医に対する研修・カリキュラムの質の保証を明示します。)
1) 指導医条件
7年以上の外科臨床経験を有する日本外科学会認定医(専門医、指導医等)
 
名前 卒業年度 専門領域 認定医等
石坂克彦 昭和54年 外科、消化器 日本外科学会指導医
日本消化器外科学会指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会指導医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
検診マンモグラフィー読影医師
NST認定教育施設指導医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
中村 学 昭和58年 外科、消化器 日本外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会認定医
柴田 均 昭和61年 外科、消化器 日本外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医
2) 指導施設資格(日本外科学会認定医制度修練施設)
上記の資格を見たす指導医が2人以上常勤し、かつ、指導医の中から定められた指導責任者の下に、充分な指導体制がとられていること
3) 指導医1人に対する研修医数
原則として1人とする