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臨床研修

臨床研修カリキュラム

[必修科目]
小児科

研修スケジュール
概要
当科の小児科研修カリキュラムを通して小児及び、小児患者の基本的な特性を理解し、初期救急を習得して必要に応じて適切に高次医療機関に紹介できることをめざす。
救急外来患者が多いため、一次二次の救急患者への対応を研修する。

月間スケジュール表
1ヶ月目
  指導医と共に病棟回診、外来診療に当たり、基本的な診断技術を習得する。
2ヶ月目
  指導医のもとで基本的な手技を習得する。新生児の基本的な診断技術を習得する。
3ヶ月目
  小児に高頻度にみられる疾患、小児科特有の疾患について、診断から、治療までの一連の流れを習得する。

週間スケジュール表
  午前 午後
外来診療 病棟
外来診療
病棟
乳児検診
病棟 予防注射
病棟
外来診療
病棟
慢性疾患
外来診療
病棟
心エコー

研修目標
1. 一般目標(GIO: General Instructional Objectives)
  小児科及び小児科医の役割を理解し、小児医療におけるプライマリ・ケアを適切に行うために必要な基礎知識・技能・態度を習得する。
成長と発達、親子関係の心理的影響などの小児の特性を学び、理解する。
成人疾患と異なる小児期の疾患の特性を学び、理解する。
小児診察における重要なポイントを学び、理解し、小児の特性を踏まえた初期治療計画を立案し、これを行う。
小児救急患者の重症度を正しく評価し、初期救急を適切に行い、高次医療機関への紹介を円滑に実施する。
2. 行動目標(SBO: Specific Behavior Objectives)
 
 
1) 正常小児の成長を身長、体重、胸囲、頭囲などから判断し、説明する。
正常小児の精神発達・運動発達について段階を追って具体的に述べる。
正常児の出生から新生児期の呼吸・循環・体温・消化・腎機能・免疫・内分泌・血液などに関る生理的変動を具体的に述べる。
発達に伴う小児の心理の変化、親子特に母児関係の基礎を学ぶ。
2) 発達段階による各種疾患内容の変化(症候の変化など)を学ぶ。
疾患における成人と異なる小児特有の病態を学ぶ。
先天代謝異常症、先天異常など小児期特有の疾患について学ぶ。
遺伝性疾患の基礎的な病態、遺伝形式について学ぶ。
小児期に特に多いウイルス感染症の病態・病原体の同定法・治療法・管理法を列記する。
細菌感染症(肺炎、髄膜炎など)の感染病巣と病原体の関係における年齢的特徴を列挙する。
小児期の痙攣を原因別、有熱/無熱性の別などの観点で鑑別する。
小児喘息の発作時対処法、慢性期の管理法を説明する。
3) 保護者、特に母親の訴えや観察の詳細に十分耳を傾け、適切な情報を取得する。
患児および保護者とのコミュニケーション法を習得し、良好な信頼関係を構築して円滑に診療を行う。
患児の観察から病態を推察する「初期印象診断の重要性」を経験する。
新生児~思春期と幅広い期間にわたる小児の発達に伴う適切な診察法(理学的所見)を習得し、実行する。
小児診療に必要な処置法を学び、単独または指導者の下で実施する。
検査値、薬用量、輸液量の成長段階における変化を理解し、薬用量の考え方・輸液量計算法を習得し、実施する。
医療事故防止・および事故発生後の対処について、マニュアルに基づいた対処法を学ぶ。
特に小児疾患における感染症の特性を理解し、院内感染対策の基礎を学び、実施する。
遺伝性疾患の患児、家族に対して適切な対応ができ、必要に応じて専門医に紹介できる。
小児の病的心理・精神疾患を初期的に判定でき、専門医に紹介できる。
予防医学的研修として、予防接種、マススクリーニングについて理解し、経験する。
新生児・未熟児の生理的変動領域を超えた異常状態の把握法を学ぶ。
正常分娩に指導者と共に立会い、児の状態を評価する。
当該患児の臨床経過及びその対応について要約し、症例提示・討論ができる。
4) 小児救急医療部署にて小児救急疾患の種類・診察法・病態の把握法・初期対処法(蘇生法を含む)を学ぶ。
小児救急患者の重傷度に基づくトリアージ法を学ぶ。
新生児の蘇生法の基礎について学び、指導者の行う蘇生に立会い経験する。
A. 経験すべき診察法・検査・手技
  経験すべき診察法・検査・手技の項目については、(A):1.5か月研修中に経験することが望ましい、(B):3か月研修中に経験することが望ましい、(C):3か月+選択研修中に経験することが望ましいものとする。
 
(1) 医療面接・指導
  小児特に乳幼児に不安を与えずに接し、コミュニケーションを取れるようになる。(A)
保護者から診断に必要な情報(病歴、家族歴、既往歴、発育歴、予防接種歴)を聴取し、効率よくまとめられる。(A)
小児の生活状況、家庭環境を医療面接などから把握できる。(C)
病的心理を持つ患児・その家族から心理的背景に関する情報を聴取し、記載できる。(C)
指導者と共に適切に病状を説明し、療養の指導ができる。(B)
(2) 小児科診察法
  小児の身体測定、検温、血圧測定、SpO2測定ができるようになる。(A)
小児の成長・発達を把握し、年齢相応か評価できる。(A)
小児の全身状態を動作・行動、顔色、活発さ、食欲などから評価し、緊急な対処が必要か判定し、実施できる。(A)
特に視診によって顔貌と栄養状態を判断し、発疹、呼吸困難、チアノーゼ、脱水症の有無を確認できる。(A)
理学的診察によって胸部所見(呼気・吸気の雑音、心音、心雑音とリズムの聴診)、腹部所見(実質臓器及び管腔臓器の聴診と触診)、頭頚部所見(眼瞼・結膜、学童以上の小児の眼底所見、外耳道・鼓膜、鼻腔・口腔・咽頭)、神経学的所見、四肢(筋・関節)の所見を的確にとり、記載ができるようになる。(B)
発疹性疾患では発疹の所見を観察記載し、鑑別した上で的確に記載できる。(A)
下痢病児では便の性状(粘液便、水様便、血便、膿性便など)、脱水症の程度を判定し、適切に記載できる。(A)
嘔吐や腹痛のある患児では重大な腹部所見を抽出し、病態を説明できる。(A)
咳を主訴とする患児では、咳の性質・頻度、呼吸困難の有無とその判断の仕方を習得し、適切に記載できる。(A)
けいれんの性状を的確に記載し、関連する重要な所見(大泉門膨隆、髄膜刺激症状など)を判定できる。(A)
(3) 基本的小児科臨床検査
  ※臨床経過、医療面接、理学所見から得た情報をもとにして病態を知り診断を確定するため、また病状の程度を確定するために必要な検査について、内科研修で行なった検査の解釈の上に立って、小児特有の検査結果を解釈できるようになる、あるいは検査を指示し専門家の意見に基づき解釈できるようになることが求められる。
 
1) 一般尿検査(尿沈渣顕微鏡検査を含む)(A)
2) 便検査(潜血、虫卵検査)(A)
3) 血算・白血球分画(計算板の使用、白血球の形態的特徴の観察)(A)
4) 血液型判定・交差適合試験(A)
5) 血液生化学検査(肝機能、腎機能、電解質、代謝を含む)(A)
6) 血清免疫学的検査(炎症マーカー(A)、ウイルス・細菌の血清学的診断(C)・ゲノム診断(C))
7) 細菌培養・感受性試験(臓器所見から細菌を推定し培養結果に対応させる)(B)
8) 髄液検査(計算板による髄液細胞の算定を含む)(A)
9) 心電図(A)・心臓超音波検査(C)
10) 脳波検査(C)・頭部CTスキャン(A)・頭部MRI検査(B)
11) 単純X線検査(A)・造影X線検査(C)
12) CTスキャン(A)・MRI検査(B)
13) 呼吸機能検査(C)
14) 腹部超音波検査(C)
(4) 基本的小児科手技
  ※小児ことに乳幼児の検査および治療の基本的な知識と手技を身につける。
 
A; 必ず経験すべき項目
1) 単独または指導者のもとで乳幼児を含む小児の採血、皮下注射ができる。(A)
2) 指導者のもとで新生児、乳幼児を含む小児の静脈注射・点滴静注ができる(A)
3) 指導者のもとで輸液、輸血およびその管理ができる。(A)
4) 新生児の光線療法の必要性の判断および指示ができる。(A)
5) パルスオキシメーター、心拍呼吸モニターを装着でき、呼吸状態の評価ができる。(A)
B; 経験することが望ましい項目
6) 指導者のもとで導尿ができる。(C)
7) 浣腸ができる。(B)
8) 指導者のもとで、注腸・高圧浣腸ができる。(C)
9) 指導者のもとで、胃洗浄ができる。(C)
10) 指導者のもとで、腰椎穿刺ができる。(B)
11) 指導者のもとで、新生児の臍肉芽の処置ができる。(B)
12) 指導者のもとで、気道確保・挿管ができる。(B)
(5) 基本的小児科治療法
  ※小児に用いる薬剤の知識と使用法、小児薬用量の計算法を身につける。
 
1) 小児の体重別・体表面積別の薬用量を理解し、それに基づいて一般薬剤(抗生物質を含む)の処方箋・指示書の作成ができる。(A)
2) 剤型の種類と使用法の理解ができ、処方箋・指示書の作成ができる。(B)
3) 乳幼児に対する薬剤の服用法、剤型ごとの使用法について、看護師に指示し、保護者(母親)に説明できる。(B)
4) 病児の年齢、疾患などに応じて輸液の適応を確定でき、輸液の種類、必要量を決めることができる。(A)
B. 経験すべき症候・病態・疾患と修得すべき成長発育に関する知識
 
(1) 頻度の高い症状
 
1) 体重増加不良、哺乳力低下(B)
2) 発達の遅れ(B)
3) 発熱(A)
4) 脱水、浮腫(A)
5) 発疹、湿疹(A)
6) 黄疸(B)
7) チアノーゼ(B)
8) 貧血(B)
9) 紫斑、出血傾向(B)
10) けいれん、意識障害(A)
11) 頭痛(B)
12) 耳痛(B)
13) 咽頭痛、口腔内の痛み(B)
14) 咳・喘鳴、呼吸困難(A)
15) 頚部腫瘤、リンパ節腫脹(B)
16) 鼻出血(B)
17) 便秘、下痢、血便(B)
18) 腹痛、嘔吐(A)
19) 四肢の疼痛(C)
20) 夜尿、頻尿(C)
21) 肥満、やせ(C)
(2) 頻度の高い、あるいは重要な疾患
 
1) 新生児疾患
  a.低出生体重児(B)
b.新生児黄疸(A)
c.呼吸窮迫症候群(C)
2) 乳児疾患
  a.おむつかぶれ(B)
b.乳児湿疹(B)
c.染色体異常症(例:Down症候群)(C)
d.乳児下痢症、白色下痢症(B)
3) 感染症
  a.発疹性ウイルス感染症(いずれかを経験する)(A)
 麻疹、風疹、水痘、突発性発疹、伝染性紅斑、手足口病
b.その他のウイルス性疾患(いずれかを経験する)(A)
 流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナ、インフルエンザ
c.伝染性膿痂疹(とびひ)(B)
d.細菌性胃腸炎(B)
e.急性扁桃炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎(B)
4) アレルギー性疾患
  a.小児気管支喘息(A)
b.アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(B)
d.食物アレルギー(C)
5) 神経疾患
  a.てんかん(A)
b.熱性けいれん(A)
c.細菌性髄膜炎、脳炎・脳症(B)
6) 腎疾患
  a.尿路感染症(B)
b.ネフローゼ症候群(C)
c.急性腎炎、慢性腎炎(C)
7) 先天性心疾患
  a.心不全(C)
b.先天性心疾患(B)
8) リウマチ性疾患
  a.川崎病(B)
b.若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(C)
9) 血液・悪性腫瘍
  a.貧血(B)
b.小児癌、白血病(B)
c.血小板減少症、紫斑病(C)
10) 内分泌・代謝疾患
  a.糖尿病(C)
b.甲状腺機能低下症(クレチン病)(C)
c.低身長、肥満(B)
11) 発達障害・心身医学
  a.精神運動発達遅滞、言葉の遅れ(B)
b.学習障害・注意力欠損障害(C)
(3) 小児の救急医療
  ※小児に多い救急疾患の基本的知識と手技を身につける。
 
1) 脱水症の程度を判断でき、応急処置ができる。(A)
2) 喘息発作の重症度を判断でき、中等症以下の病児の応急処置ができる。(A)
3) けいれんの鑑別診断ができ、けいれん状態の応急処置ができる。(A)
4) 腸重積症を正しく診断して適切な対応がとれる。(B)
5) 虫垂炎の診断と外科へのコンサルテーションができる。(B)
6) 酸素療法の適応を判断し、実施できる。(A)
7) 気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫式マッサージ、静脈確保、骨髄針留置、動脈ラインの確保など蘇生術が行える。(B)
その他の小児救急疾患
1) 心不全(B)
2) 脳炎・脳症、髄膜炎(B)
3) 急性喉頭炎、クループ症候群、細気管支炎(B)
4) アナフィラキシーショック(B)
5) 急性腎不全(C)
6) 異物誤飲、誤嚥(B)
7) ネグレクト、被虐待児(C)
8) 来院時心肺停止症例(CPA)、乳幼児突然死症候群(SIDS)(C)
9) 事故(溺水、転落、中毒、熱傷など)(B)
(4) 成長・発育と小児保健に関わる項目
 
1) 母乳、調整乳、離乳食の知識と指導(B)
2) 乳幼児期の体重・身長の増加と異常の発見(A)
3) 予防接種の種類と実施方法および副反応の知識の対応法の理解(A)
4) 発育に伴う体液生理の変化と電解質、酸塩基平衡に関する知識(A)
5) 神経発達の評価と異常の検出(B)
6) 育児に関わる相談の受け手としての知識の修得(C)
C. 小児科研修項目の経験優先順位
  優先順位は以下のように設定した。
経験優先順位第一位:経験すべき診察法・検査・手技、経験すべき症候・病態・疾患と修得すべき成長発育に関する知識の(A)項目については小児科実習中に把握・経験し修得し、指定された項目についてのレポート提出を行い、指定された症例の受け持ち医となってレポートを提出する。
経験優先順位第二位:経験すべき診察法・検査・手技、経験すべき症候・病態・疾患と修得すべき成長発育に関する知識の(B)項目については3か月間の実習中に把握・経験し修得することを目標とする。
経験優先順位第三位:経験すべき診察法・検査・手技、経験すべき症候・病態・疾患と修得すべき成長発育に関する知識の(C)項目については6か月間以上の実習中に把握・経験し修得することを目標とする。
3. 指導医条件
 
(1) 7年以上の小児科臨床経験を有する日本小児科学会認定医
 
名前 卒業年度 専門領域 認定医等
神田 仁 昭和57年 小児科、アレルギー・てんかん 日本小児科学会認定専門医
(2) 指導施設資格
上記を満たす指導医が1人以上常勤し、2人以上の小児科医が勤務していること。
(3) 指導医1人に対する研修医数
原則として1人までとする。